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AI 導入・活用に関する最新情報、技術トレンド、事例紹介をお届けします。
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AI駆動開発の事例を調べると「開発速度が何倍になった」という数字は見つかりますが、その数字が自社でも再現するのかまでは読み取れません。成果を出したプロジェクトには、それを成立させた条件があります。
この記事では、KDDIアイレットが実際に手がけたプロジェクトを工程別に整理し、あわせて海外の公開事例、成果の裏にある実現条件、失敗の典型パターン、自社に適用できるかを判断する軸を解説します。AI駆動開発そのものの定義や進め方はAI駆動開発(AIDD)とはで扱っています。
成果の数字を横並びにしても判断材料になりません。同じ「工数50%削減」でも、要件定義で削れた50%と実装で削れた50%では、必要な準備がまったく違うからです。
読むときの軸は2つに絞ると整理しやすくなります。
| 軸 | 見るポイント |
|---|---|
| どの工程に効いたか | 要件定義・デザイン・実装/モダナイズ・運用のどこが変わったか |
| 何を前提にしていたか | インプットの品質、既存資産の状態、体制など、その成果を成立させた条件 |
ここからは、KDDIアイレットが手がけたプロジェクトを、効果が出た工程ごとに見ていきます。それぞれの詳細は、リンク先の導入事例ページで公開しています。
なお、以下に挙げる数値はいずれも個別のお客様事例における実績(一部は目標値)であり、同等の効果を保証するものではありません。
共通プラットフォーム開発のプロジェクトでは、要件定義フェーズの属人化が課題でした。インプットの品質やフォーマットがプロジェクトごとに不均一で、アウトプットも担当者によってばらつく。結果として開発側への引き継ぎで齟齬が起き、画面遷移の不整合やロール別要件の表現が難しくなっていました。
AIDD要件定義でプロセスを標準化した結果、手戻り回数が約3回から約1回になり、約66%の削減となりました。定性面では「インプットを読み込ませるだけでほぼ完成形のものが得られる」「誰がやってもブレの小さい状態」という変化が起きています。
要件定義が効くのは、下流の手戻りをまとめて潰せるからです。実装だけ速くしても、仕様が揺れれば作り直しが発生します。
商業施設のDX推進プロジェクトでは、全画面のFigmaデザイン作成を原則廃止し、モダンなUXを実現しながら開発工数を約50%短縮しました。デザイナーの役割を、画面を1枚ずつ描くことからデザインシステムの構築とレビューへ移した結果です。
税制改正対応のマスタ管理システムでも、UI/UXの統一と再利用性向上を目的にAIDDデザインを導入しています。こちらはマスタ更新作業時間の50%短縮を目標に据えた取り組みです。
KDDIアイレットの自社サービスである副業・兼業人材マッチングプラットフォーム「SkillCraft」のモダナイズは、条件が特に厳しいプロジェクトでした。
ここにAIDDモダナイズとAIDDインハウスを適用し、**流動的なチーム構成のまま品質を担保しつつ、約2〜3年と見込んでいた開発を約半年(開発スピード約4倍)**で終えました。
医療情報基盤のプロジェクトでは、ブロックチェーン連携と国際標準規格FHIRへの対応という難度の高い要件に対し、当初1年と見積もっていた開発期間を半年に縮めてプロダクトを市場に出しています。
gaipack公式サイト自体もAIDD CMSで構築・運用しており、非エンジニアによる自律運用で開発・運用負荷を約50%軽減しています。
社内ナレッジの側では、RAGとMCPを組み合わせたgaibotで、散在していた情報を検索可能な資産に変えました。運用工程は数字になりにくい領域ですが、検索にかかる時間と回答品質のばらつきという形で効いてきます。
自社のプロジェクトだけでなく、企業自身が公式に発信しているAI駆動開発の事例も増えています。ここでは出典を当事者の公式発信に限定して、海外の2件を紹介します。
航空管制などの社会インフラを手がけるスペインのIndraは、GitHub公式のカスタマーストーリーで導入プロセスを公開しています。非機密のJavaコードベースで試験導入し、プライバシー・セキュリティ要件を満たすことを確認してから対象を広げる進め方で、定型コードの作成時間を30%削減し、新機能開発の生産性を20%向上させたと報告されています(出典: GitHub公式カスタマーストーリー)。
Googleは2024年10月の決算発表で、その時点で社内の新規コードの4分の1以上がAIによって生成され、それをエンジニアがレビューして受け入れていることを明らかにしました(出典: Google公式ブログ)。
2件に共通するのは、生成をAIに任せても、レビューと受け入れの判断は人間が持ち続けている点です。数字の派手さよりも、この分担の設計が成果を左右します。
事例の数字だけを取り出すと、自社で再現しなかったときに原因が分かりません。KDDIアイレットでは、AI駆動開発で見込める効果を実現条件とセットにして整理しています。
| 観点 | 効果 | 実現条件 |
|---|---|---|
| 開発スピード | 着手から完成までの期間を大幅短縮(2倍以上) | インプット品質が80%以上必要 |
| ドキュメント品質 | 構造化・定型化からの逸脱が減り安定する | テンプレート・ルールの明記 |
| 実装・テスト効率 | 定型業務の自動化(開発コスト最大30%削減) | レビュー・修正プロセスの人力確保 |
| レビュー精度 | 人間レビューの指摘が明確化する | AIと人間の二重チェック体制 |
| 手戻り削減 | 仕様段階の整合性チェックで終盤トラブルを削減 | 要件定義の質と段階的レビュー |
| 運用保守 | 既存資産を解析し最新アーキテクチャへ変換(運用保守費最大60%削減) | AIDDモダナイズの適用 |
右の列が満たされていない状態で左の効果だけを期待すると、ほぼ届きません。要件定義で手戻りが約66%減ったのも、ヒアリングをテンプレート化し、受け入れ基準をGiven-When-Then形式に統一し、成果物をMarkdownで揃えたうえでの結果です。
事例を読んだあと、自社に当てはまるかをどう判断するか。KDDIアイレットでは次の2軸で判断しています。
AI駆動開発は全タスクが対象ではありません。タスクの性質によって効果の出方が変わります。
| タスク分類 | 適用性 | 理由 |
|---|---|---|
| 定型・反復業務 | ★★★ | 文法・規則の学習に優れ、定型タスクで最大の効果が出る |
| ドキュメント生成 | ★★★ | 構造化されており個人差が少ない |
| コード実装 | ★★☆ | 既存コード・開発ルールがインプットにあれば効果大 |
| 初期テスト | ★★☆ | テストケース生成は効果あり。実行は自動化が前提 |
| 要件定義・企画 | ★☆☆ | 創造性と判断が主体。AIは補完役 |
| 意思決定・判断 | ★☆☆ | 人間の判断が必須。AIは根拠の整理を支援 |
★★★のタスクから着手するのが定石です。無理にAI化しないことが、かえって品質を上げます。
もうひとつの軸が、手元の資料がどれだけ整っているかです。整理度合いによって取るべき進め方が変わります。
| インプットの整理度合い | 進め方 |
|---|---|
| 80%超 | 要件定義フェーズを必須で置き、そのままAI駆動開発へ |
| 30%超〜80%以下 | プロジェクトの特性で判断。前整理フェーズを挟んでから再評価する |
| 30%程度以下 | AI駆動開発の適用見送り、または限定適用を検討する |
資料がほとんど整っていない状態でAIツールだけ導入しても、出力のばらつきが下流に流れていくだけです。まず整理する工程が要ります。
成功した事例と同じくらい、うまくいかなかったパターンにも情報があります。KDDIアイレットがAI駆動開発の運用で典型例として整理しているつまずきは、次の3つです。
資料が整理されていない状態でAIに作業を任せると、出力の品質も低くなり、却下とリテイクが繰り返されます。作業は速いのに完成に近づかない、という状態です。対策は着手前のテンプレート化・ルール化と既存資料のMarkdown化で、これは後述するインプット整備の3段階そのものです。
誰がいつ判断するのかを決めずに走らせると、成果物が承認待ちで滞留し、スケジュールが遅れます。AIの生成物は必ず人間がレビュー・承認してから使う前提で、責任者と承認のタイミングを計画段階で明記しておく必要があります。レビュー頼みにせず仕組みで防ぐ考え方は、間違えられない構造をつくるガードレール設計で扱っています。
確認体制がないままツールを配ると、機密情報の流出やライセンス違反につながります。最低限、プロンプトに機密情報・個人情報を含めない、AI生成コードの脆弱性とライセンスを確認する、利用ログを監査できる形で残す、の3点は導入時に決めておくべき項目です。組織的な統制から設計したい場合は、gaipack ガバナンスのようなサービスを使う選択肢もあります。
つまずきの多くは、手順を決めずに走り出すことで起きます。KDDIアイレットでは、AIDDの適用を3つの段階に分けて進めています。
| 段階 | やること |
|---|---|
| 準備 | AIDD適用の可否を判断し、インプット品質の評価と体制・セキュリティの合意を計画段階で済ませる |
| 実行 | 要件定義から実装・テストまで、AIが草案を作り人間が確定させる分担で各工程を進める |
| 記録・レビュー | レビューの判定や品質評価を追跡できる形で記録し、次のプロジェクトのフロー改善に反映する |
検証の広げ方にも順序があります。AIの動作確認、小規模テスト、本格運用の3段階を踏むのが標準で、最初から全工程に適用しないほうが結果的に早く定着します。チームの研修や体制づくりから始めたい場合は、AIDD キャンプのような研修型の入り口もあります。
では何をすれば整理度合いが上がるのか。KDDIアイレットではGood / Better / Bestの3段階で進めています。
Good(最低限) は、いまある資料のまま守れるルールです。Excelなら描画・テキストボックスを使わない、セル結合をしない、色だけで意味を持たせずテキストで明示する、シート名に内容を書く(Sheet1のままにしない)。PDFはスキャンPDFを避け、フロー図にテキストの補足を付ける。処理条件や分岐はGherkin形式で書く。
Better は、汎用資料を段階的にMarkdown化することです。依頼内容・要件定義、議事録・決定事項、処理条件・ロジック定義、設計書・画面定義の順に進め、フロー図や画面遷移、ER図はMermaidにします。
Best は、全資料をMarkdown / Mermaidに統一してGitで一元管理する状態です。修正が1箇所で全工程に波及します。
Goodのルールだけでも、AIが読み取れる情報量は大きく変わります。ツール選定より先に着手する価値があります。
AI駆動開発の事例について検索されることの多い質問と回答をまとめました。
適用範囲で分かれます。コーディング支援に限定するものと、要件定義から運用までライフサイクル全体を対象にするものがあり、後者の代表がAWSの提唱するAI-DLC(AI駆動開発ライフサイクル)です。仕様を先に固める考え方に寄せたものが仕様駆動開発(SDD)になります。
AIの関わる範囲が違います。コード補完のように人間の作業を部分的に助けるのがAIアシスト、要件やタスクを渡してAIが成果物の草案づくりを主導し、人間がレビューと承認を担うのがAI駆動開発です。定義の詳細はAI駆動開発(AIDD)とはで解説しています。
GitHub Copilot、Cursor、Claude Code、Devin、Kiroなどが該当します。ただし事例を見るかぎり、成果を決めているのはツールの選定よりも、適用するタスクの見極めとインプット品質です。ツールごとの特徴はAI駆動開発のツール比較で整理しています。
インプット品質が低いまま着手する、レビューと承認のルールを決めずに走る、セキュリティ確認なしでツールを配る、の3つが典型です。いずれもツールではなく進め方の問題なので、導入前の準備段階で潰せます。
工程を絞れば出ます。★★★の定型・反復業務やドキュメント生成から始めれば、規模が小さくても効果は確認できます。全工程を一度に変えようとしないことが再現性につながります。
AI駆動開発の事例は、成果の数字ではなく「どの工程に、どんな条件で効いたか」で読むと、自社への当てはめが判断できます。
紹介したプロジェクトでは、要件定義で手戻り約66%削減、デザインで開発工数約50%短縮、モダナイズで開発スピード約4倍、運用で負荷約50%軽減という結果が出ています。いずれもインプットが整っていたこと、適用するタスクを選んでいたことが前提にありました。IndraやGoogleといった海外の公開事例でも、人間のレビューを残した段階導入という同じ型が確認できます。
自社のインプットがどの段階にあり、どの工程から着手すべきかを整理したい方は、お気軽にKDDIアイレットへお問い合わせください。
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