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AI 導入・活用に関する最新情報、技術トレンド、事例紹介をお届けします。
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お客様からヒアリングした課題を箇条書きにして Gemini に渡しただけで、現状(As-Is)・あるべき姿(To-Be)・進め方まで揃った提案書の骨子ができました。営業寄りのコンサルタントとして、物流も貿易実務もほぼ知らない状態から試した 2 つの例と、それでも人間に残る仕事を紹介します。
きっかけは、以前にあるお客様から聞いたまま手元に残っていたヒアリングメモです。当時は対応できずに終わっていましたが、別のお客様と話すときに「こういう課題はありませんか」と切り出すネタとして、ポンチ絵を 1 枚作ろうと思い立ちました。
Gemini に渡したのは、次の一文と箇条書きのメモだけです。
私は DX 分野のコンサルタントです。とある企業の物流部門に課題をヒアリングした結果を下記します。分かりやすくポンチ絵にしてください。(以下、ヒアリングメモの箇条書き)「提案書にしてほしい」とは書いていません。メモの内容も、お客様が話した順に書き留めただけのもので、情報は整理していません。おおむね次のような粒度です(お客様を特定できる情報は伏せ、数値や組織構成も一般化しています)。
ヒアリング中に分からなかった用語(EPA / FTA など)は、その場で「もう一度お願いします」と聞き返し、後から検索や AI に確認して注釈を付けました。貿易実務の知識がゼロでも、お客様の言葉をそのまま書き留めておけば AI への入力にはなります。
返ってきたのは、ポンチ絵 1 枚ではなく提案書の骨子でした。構成は次のとおりです。
| スライド | 内容 |
|---|---|
| 1 | タイトル(物流部門向けの DX 基盤構想) |
| 2 | 全体共通の課題(As-Is):データ容量の壁・属人的な Excel 運用・外部データ統合の欠如 |
| 3〜4 | 2 つのチームそれぞれの主なミッションと現在のペインポイント |
| 5 | To-Be:社内実績・EPA / FTA データ・外部市況データを統合するデータ基盤と部門別 BI ダッシュボードのポンチ絵 |
| 6〜7 | 解決策:クラウド DWH の導入と統合 BI ダッシュボードによる可視化 |
| 8 | 期待される効果と Next Action(現行制限の調査と要件定義 → PoC → 全社展開) |
メモには書いていない「外部市況データ(運賃レート・市場相場)との統合」や「EPA / FTA データと社内実績の自動突合」が To-Be に補われていたのは予想外でした。候補として挙がっていたクラウド DWH や BI ツールの製品名は、あくまで Gemini が例示したものなので、そのまま提案するのではなく技術側と詰める材料として扱っています。
この時点で得られたのは「エンジニアに相談する前に、構成案のたたき台が手元にある」という状態です。これまでは、お客様の課題を聞いてもシステム構成案のイメージが持てず、技術側へ相談する一歩目が重くなりがちでした。
別の機会に聞いていた、もう 1 つの課題でも試しました。貿易における L/C(信用状)決済に関連する書類作成です。
L/C 決済は、輸入者の代金未払いリスクを銀行が保証する決済方法で、輸出者は L/C の条件に合致する書類を銀行へ提示することで代金を受け取ります。輸出者側で揃える船積み書類は、コマーシャルインボイス、パッキングリスト、船荷証券(B/L)、検査証明書、原産地証明書の 5 点で、作成者が社内・船会社・商工会議所にまたがります。お客様が困っていたのは、この書類を間違いなく作ることに人手と神経を使っている点でした。
今回 Gemini に渡したのは、自分なりに理解した L/C 決済の流れ、書類 5 点の一覧、参考にした解説ページの URL の箇条書きです。返ってきた構成は次のとおりです。
| スライド | 内容 |
|---|---|
| 1 | タイトル(L/C 決済における船積み書類作成のシステム化構想) |
| 2 | L/C 決済の基本スキーム(輸入者・輸入国銀行・輸出国銀行・輸出者の関係図) |
| 3 | 船積み書類 5 点セットの要件と作成者 |
| 4 | As-Is:L/C の文言と書類の文言が一言一句一致する必要があること、原本・コピー枚数の指定、不備(ディスクレパンシー)があると銀行が支払いを拒否するリスク |
| 5〜6 | To-Be:受領した L/C を「正」のデータソースとしてシステム登録し、後工程へ要件を自動展開、書類生成時に差異を自動検知 |
| 7 | 期待効果:代金回収リスクの極小化、確認業務の省力化、プロセスの標準化 |
| 8 | 進め方:要件定義・現状分析(1〜2 ヶ月)→ PoC(2〜3 ヶ月)→ 本番開発(6 ヶ月〜) |
As-Is の「ディスクレパンシーが代金回収の遅延や未回収につながる」というリスクは、メモには書いていない内容です。L/C 決済の一般的な知識から Gemini が補ったもので、お客様の困りごとを事業リスクの言葉に翻訳してくれました。
この例での学びは、To-Be の発想そのものが自分の中になかったことです。「L/C を正のデータソースとしてシステムに登録し、そこから書類を生成して差異を検知する」という方向性は、AI の推奨があって初めて「こういうことをやればいいのか」と分かり、ここからエンジニアに「これはできますか」と相談できる状態になりました。
「AI が提案まで作るなら、担当者は AI の使い走りになるのでは」という問いを受けました。実際に試した範囲では、次の 3 つは人間の仕事として残っています。
AIDD の研修で最初に教わったのが「100 点のアウトプットイメージを描くこと」でした。どんなアウトプットを作らせたいかのイメージがないと、AI への指示もレビューも成立しません。今回の出力も完璧ではなく、お客様に出すには人間が直す箇所が残ります。提案書を作らせたとしても、レビューは必ず人間が行います。
AI に渡す情報が薄ければ、出てくる提案も薄くなります。今回うまくいった理由の半分は、運賃交渉を担うチームがどんな業務をしていて何に困っているかを、分からない用語を聞き返しながら書き留めていたことにあります。ヒアリングの型を整えれば、どこまで聞けば AI に渡せるかは標準化できそうですが、聞き出すのは人間の仕事です。
「比較検討の縦軸はこれ、横軸はこれで結果をスライドにしてください」のような指示は、提案をしてきた経験がないと出てきません。縦軸・横軸の候補自体を AI に聞くこともできますが、返ってきたものを取捨選択して提案に組み込む判断は人間に残ります。
| 観点 | 今回分かったこと |
|---|---|
| 入力 | 整理していないヒアリングメモの箇条書きと 1 文の依頼で足りた |
| 出力 | As-Is・To-Be・解決策・進め方まで揃った 8 枚の骨子(2 件とも) |
| 効果 | エンジニアに相談する前に構成案のたたき台が持てる。To-Be の発想を AI から得られる |
| 限界 | そのまま提案には出せない。製品名の例示は技術側と詰める材料に留める |
| 人間の仕事 | 100 点のアウトプットイメージ、ヒアリング力、AI への質問力 |
なお、今回の 2 件は以前に聞いた課題だったため、このあと実際の提案書までは作っていません。ここから「こういう課題はありませんか」と切り出す 1 枚のサマリーにまとめる作業は Claude で行っています。提案書の前段にあるヒアリングシートから逆算して資料を作る考え方は AI 版ワーキングバックワーズの実践ガイドでも紹介しています。
1 年前はまだ Copilot しか使えない環境で、ここまでのアウトプットは出せませんでした。1 年でできることが変わったので、お客様から課題を聞けた方は、まず箇条書きのまま AI に渡してみてください。「何から始めればいいか分からない」「RFP をどう書けばいいか分からない」といった段階からのご相談は gaipack コンサルティングで承っています。KDDIアイレットまでお気軽にお問い合わせください!
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