
Notion AI Meeting Notes を議事録運用で検証してみた
Notion AI Meeting Notes を業務の会議で使い、議事録の作成から共有までを一通り回してみました。使う前は文字起こしの精度を比べるつもりでいたのですが、実際に差が出たのは録音を始めるまでの手数と、できた要約をそのあと何に使えるかでした。検証の結果と、自分たちの運用にはめたときに出たギャップを書きます。
きっかけと、6 つに分けて見た理由
使い始めたきっかけは、自分が主催者ではない会議でした。主催者側のツールで作られた要約は、受け取るまでに権限の確認や依頼を挟むため、チーム内で内容を共有できるまでに時間がかかります。会議の直後に手元で議事録をまとめられる手段がほしくて、Notion を使うようになりました。
前提として、記録を始める前に参加者へ断りを入れる運用は変えていません。Notion AI Meeting Notes 側も、文字起こしを開始する操作が「参加者全員から記録の同意を得ていること」の確認を兼ねる仕様になっています(Notion Help Center・2026 年 9 月 14 日参照)。
「便利でした」で終わる感想にしないために、会議 AI を録音開始から継続運用までの 6 段階に分けて順番に見ていきました。
| # | 観点 | 見たこと |
|---|---|---|
| 1 | Capture | 録音を始めるまでの手数と準備 |
| 2 | Context | 話者の識別、カレンダー連携、会議の文脈の把握 |
| 3 | Structure | 要約・決定事項・Action Item の構造化 |
| 4 | Traceability | 要約から元の発言ログへ遡れるか |
| 5 | Reuse | タスク管理や検索でデータを使い回せるか |
| 6 | Operation | 権限・料金・ワークスペース設計などの継続運用 |
このうち、はっきり差が出た Capture・Context・Reuse・Operation を中心に書きます。
録音を始めるまでが 5 手から 2 手になった
それまでは Google Meet で個人的な会議を立て、そこに音声を流し込んで文字起こしを取っていました。手順にすると 5 つです。
| Google Meet で取っていたとき | Notion AI Meeting Notes | |
|---|---|---|
| 手順 | Meet を起動して個人用の会議に入室 → 画面共有ボタンを押してタブを選択 → システム音声をオン → 文字起こしをオン → 要約を別ファイルに保存 | Notion のデスクトップアプリを開く → AI Meeting Notes を起動して文字起こしを開始 |
| 手数 | 5 手 | 2 手 |
| 会議ツールの制約 | Meet に音声を通す前提が要る | 会議ツールを問わない |
Notion 側は 2 手で済みます。手数そのものより、どのツールで会議が始まっても同じ手順で記録を開始できることのほうが大きい差でした。「この会議は何で記録を取ろうか」と迷う時間が消えるので、記録を取り始めるまでの心理的なハードルが下がります。
議事録が続くかどうかは、精度より先にこの入口で決まっている実感があります。
カレンダー連携で文脈は補えるが、話者ラベルは日本語で付かない
Notion AI Meeting Notes は音声を文字に起こすだけでなく、Google カレンダーと連携できます。連携しておくと、予定に入っている参加者の名前やアジェンダを会議情報として自動で取り込みます。
これがあると、あとから「これは誰の発言だろう」と考えるときの手がかりになります。音声だけを見るのと、参加者リストとアジェンダを手元に置いた状態で読むのとでは、追いやすさが変わりました。
日本語の技術ミーティングで試した範囲では、文字起こし自体は発言の拾い漏れが少なく、読める形になっていました。Notion の公式ヘルプでも、文字起こしの対応言語に日本語が挙げられています。
一方で、発言者名の自動付与は別の話です。同じヘルプの FAQ には「Speaker labeling is currently available in English only.」と書かれており、話者ラベルは英語のみという扱いになっています(Notion Help Center・2026 年 9 月 14 日参照)。日本語の会議では、誰の発言かを示すラベルは自動では付きません。
運用でカバーするなら、次のどちらかが要ります。
- 会議の冒頭で名乗ることをルールにする
- 議事録の生成後に Notion 上で話者を手で補正する
同じヘルプには、Chrome で Google Meet を使う場合に Notion Meetings Add-on のブラウザ拡張を入れるとグループ会議でも話者ラベルが得られる(デスクトップのみ)とも案内されています。こちらは今回の検証では試していないので、効果までは確認できていません。
理想の流れと、Google ドライブ運用で起きたこと
Notion が想定している流れは、会議から先が全部 Notion の中でつながる形です。実際に自分たちがやっている流れとは、途中から分かれます。
| Notion が想定する流れ | いまの運用 | |
|---|---|---|
| 経路 | 会議 → ページが自動生成 → タスクのデータベースへ → AI 検索の対象になる | 会議 → Notion が要約を生成 → テキストを手でコピー → Google ドライブに置いて共有 |
| 議事録の状態 | 構造を保ったまま蓄積される | コピーした時点で普通のテキストに戻る |
| 検索 | Notion の横断検索に乗る | Notion 側の横断検索からは外れる |
チームの共通基盤が Google ドライブなので、Notion に置いたままではメンバーに届きません。そのため要約を手でコピーしてドライブへ持っていくことになり、二重転記のコストが常に乗ります。構造化されていた Action Item がただのテキストに戻るのも、この工程で起きています。
会議 AI を選ぶときにカタログで比べにくいのはここでした。ツール単体の性能ではなく、チームの共通基盤とどちらに情報を置くかが決まっていないと、いちばんおいしい部分が使えません。
議事録に質問できること、コピーすると失われること
Notion に議事録を置いたままにしておくと、その場で AI チャットを立ち上げて、文字起こし全体を参照させた質問ができます。「この課題の結論はどうなったか」と聞けば、その部分だけを答えてくれます。
議事録の価値は読み返されるかどうかで決まると思っていますが、長い文字起こしを上から下まで追うのは負担が大きいものです。質問すれば答えが返ってくるなら、読み返さなくても中身にアクセスできます。ここは実際に使ってみて、いちばん便利だと感じた点でした。
ただし制約が 2 つあります。1 つは利用回数で、無料のプランでは AI チャットに上限があるため、チームで常用するなら有料プランが前提になります。もう 1 つは前述のコピーで、Google ドライブに置いた時点で議事録は静的なテキストになり、質問しても何も返ってきません。いまの運用では、この機能をいちばん使えていない状態になっています。
ワークスペースを増やしたら、横断検索が効かなくなった
Notion AI には無料で試せる枠があります。検証を続けるために新しいワークスペースをいくつか作り、そこに議事録を 1 つずつ置いていったところ、ワークスペースが増えすぎました。
起きたことは 3 つです。
- 会議の情報が複数のワークスペースに分かれ、Notion 側でどこに何があるか分からなくなった
- その結果、Notion の売りである AI の横断検索が効かなくなった
- ワークスペースごとに Google カレンダーの連携をつなぎ直す必要があり、Capture で得た「すぐ始められる」良さが少し削られた
情報を探せるかどうかについては、Google ドライブにフォルダ単位で格納しているので実務では困っていません。問題は、Notion の中で横断して引ける状態が壊れたことのほうです。
ここから言えるのは、Notion AI の良さを引き出すなら、個人がそれぞれ好きに使う形ではなく会社として 1 つのワークスペースに集約する必要があるということでした。機能として動くかと、組織の業務として運用できるかは別に確かめたほうがよさそうです。
3 つのツールをどう使い分けるか
Google Meet の Gemini、Microsoft Teams の Copilot、Notion AI Meeting Notes を並べると、設計の狙いがそれぞれ違います。優劣ではなく、どこに軸足を置いた道具なのかという整理です。
| 観点 | Google Meet(Gemini) | Microsoft Teams(Copilot) | Notion AI Meeting Notes |
|---|---|---|---|
| 軸足 | 会議そのものを進めること | Microsoft 365 の中でのやり取り | 会議で出た情報を残して使うこと |
| 記録の開始 | 会議を作成してブラウザで入室 | Teams アプリの中で完結 | デスクトップアプリから起動 |
| 参加者情報 | Google Workspace と連携 | Microsoft のアカウント基盤と連携 | Google / Outlook カレンダーと連携(話者ラベルは英語のみ) |
| 後工程への接続 | Google ドキュメント・ドライブへ出力 | Loop・OneNote・Planner などへ展開 | Notion のデータベース・タスク・AI 検索へ接続 |
| 向いている場面 | 会議の中で完結させたいとき | Microsoft のツールでそろえている組織 | ドキュメントとタスクを Notion に寄せている組織 |
自分たちの使い方に限っていえば、主催者が自分ではない会議の内容をチーム内へ早く共有する、という一点で Notion がいちばん手早く回りました。組織のツール構成が違えば、この答えは変わります。
まとめ
6 つの観点で見た結果として残ったのは、次の 2 点です。
- 会議 AI は文字起こしの精度だけでは評価できない。差が出たのは録音を始めるまでの手数(Capture)と、できた要約を業務データへ渡せるか(Reuse)だった
- Notion AI Meeting Notes は、会議で出た定性的な情報を「あとから検索して判断できるデータ」へ変える入口として強い。ただしその価値は、Notion の中に置いたままにできる場合に限られる
社内で本格的に使うなら、先に決めておくことが 2 つあります。日本語の会議で話者ラベルが付かない前提での運用ルール(冒頭で名乗る、あとで補正する)と、情報を分散させないためのワークスペースの統合設計です。
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