
家事に AI を使ってみた:写真で相談した 4 つの実例
家事で困ったとき、これまでは YouTube やテレビ、SNS で調べたり、詳しい人に聞いたりしていました。いまは AI に写真を送って相談することがいちばん多くなっています。片付け・DIY・ガーデニング・掃除の 4 つの場面で、Gemini などのマルチモーダル AI をどう使い、どこで間違えられ、何を自分で決めたのかをまとめます。
片付け:理想の洗面所を AI に描いてもらう
最初の題材は、物があふれていた洗面所の棚です。散らかりすぎていて、どこから手を付ければよいのか、片付いた状態がどんな姿なのかが思い描けませんでした。
そこで棚の写真を撮り、次のように相談しました。
洗面所の棚を整理したい。出来るなら生活感も減らしたいけど、どうするのが良い?
AI は、生活感を抑えて収納用品をそろえた棚の画像を生成してくれました。左が片付ける前の棚、右が AI の描いた理想の棚です。
続けて、その画像に写っている収納用品を買いそろえる場合の予算案も出してもらっています。
| 区分 | アイテム | AI が挙げた候補 | 金額の目安 |
|---|---|---|---|
| 主役(投資) | ランドリーバスケット | CURVER スタイルランドリー | 約 6,600 円 |
| 脇役(ケチる) | 天袋用ボックス × 3 | ダイソー 麻入収納ボックス(550 円 × 3) | 約 1,650 円 |
| 脇役(ケチる) | 詰め替えボトル × 4 | セリア ランドリーボトル(110 円 × 4) | 約 440 円 |
| 脇役(ケチる) | 一時置きトレー × 2 | 100 円ショップのトレー(110 円 × 2) | 約 220 円 |
合計は約 8,910 円です。お金をかける物と抑える物を分けて提案してくれたので、買い物の優先順位がすぐに決まりました。
ただし、AI の案をそのまま買ったわけではありません。ランドリーバスケットは金属製のものに変え、布製の収納ボックスは生成画像に近い見た目のものを無印良品で選び、メッシュの収納も足しました。実際の棚は AI の理想図とは少し違いますが、だいぶ整いました。
先に完成形の画像を見ておくと、片付けに着手しやすくなるというのが一番の収穫です。
DIY:手書きの図から Web アプリが出てきた
次は、ガレージに作業台付きの棚を作った木工 DIY です。イメージ図はスマートフォンに手書きで 5 分ほどで描いた雑なもので、寸法だけを書き込んで Gemini に渡しました。
Gemini の Canvas を有効にして相談したところ、図面や絵ではなく、この棚を作るためだけの Web アプリが返ってきました。
- 木取り図: 2×4 材 12 本から、どの部材をどう切り出すか
- 骨組みの図: クリックすると、その部材が棚のどこに付くかが分かる
- 進捗管理: 「カット進捗 0/20 パーツ」のように、切り終えた部材を記録できる
- 安全メモ: 丸ノコの切り込み深さ、キックバックの防ぎ方
汎用の DIY アプリを探して使うのではなく、目的に合わせた専用アプリがその場で出てくることには驚きました。ここから少し手直しはしましたが、考えを整理する段階はほぼこのアプリで済んでいます。
材料と道具は、AI に「必要」と言われたものを全部買いました。材料は 2×4 材と OSB 合板、道具は丸ノコ、インパクトドライバー、集塵機、クランプ、ドリルビット、メジャー、消耗品はビスとマスクです。
完成した棚は W1600 × D400 × H1800 で、天板を高さ 900 mm の作業台にしています。2×4 材 12 本から 20 パーツを切り出し、ほぼイメージどおりの棚ができました。
ガーデニング:AI の答えが間違っていた雑草
うまくいかなかった例もあります。庭の芝に見慣れない草が入り込んできたので、手で全部抜きました。ところが、同じ場所からすぐに生えてきます。
抜いた草の写真を AI に送ると、答えは「オヒシバです」でした。
念のため「オヒシバ」で画像検索してみると、手元の草とはどう見ても違います。AI は写真を見ても、自信満々に間違えることがあります。
そこで、次の順で聞き直しました。
- 疑う: AI の答えを画像検索で答え合わせし、違うと判断する
- 情報を足す: 写真を何枚か送り直し、根元が白っぽい、葉が平たいといった自分の目で分かる特徴を言葉でも伝える
- 聞き直す: その結果、正体は「チガヤ」だと分かった
チガヤは地下茎で広がる雑草で、根が少しでも残っているとそこから再生します。何度抜いても生えてきたのはこのためでした。品種が特定できると、AI の提案は具体的で役に立つものになります。 AI からは、根まで枯らすタイプの除草剤をチガヤに直接塗る方法を提案されました。
現在はこの方法を試している途中で、チガヤだけが黄色く枯れ始めています。
2 週間ほどで枯れ、枯れた根はそのまま土の中で分解されるので抜かなくてよいそうです。除草剤は、製品のラベルに書かれた使い方を確認してから使ってください。
画像検索で裏取りしていなければ、いまもオヒシバだと思ったまま草むしりを続けていたはずです。
掃除:買取を断られた食洗機を磨き直す
最後は掃除です。引っ越しのときに、水が入ったまま梱包して放置してしまった食洗機がありました。売ろうとリサイクルショップに持ち込みましたが、汚れがひどく買取を断られています。
この食洗機の汚れの写真と、家にある洗剤を AI に送り、どの汚れにどの洗剤を使えばよいかを判断してもらいました。
| 汚れ(写真から AI が判定) | AI が指定した洗剤 |
|---|---|
| カビ | 塩素系(泡ハイター) |
| 油汚れ | アルカリ系(セスキ炭酸ソーダ、電解水) |
あわせて、塩素系の洗剤はほかの洗剤と混ぜてはいけないという注意も添えてくれました。
洗剤はいろいろ持っていたものの、何にどれが効くのかを覚えていられず、うまく使い分けられていませんでした。それまでの掃除は、水洗いとブラシでこするくらいです。汚れに合った洗剤を使うと面白いように落ち、見た目は新品とほとんど変わらない状態になりました。
磨き直した食洗機は 2,200 円で売れました。掃除が苦手なのだと思っていましたが、実際は汚れに合わない道具で戦っていただけでした。
AI に任せたことと自分でやったこと
4 つの場面を並べると、AI と自分の役割ははっきり分かれていました。
| 場面 | AI に任せた | 自分がやった |
|---|---|---|
| 片付け | 理想図・予算案 | 現実に合わせて選ぶ |
| DIY | 図面化・カットリスト・進捗管理アプリ | 切って、組み立てる |
| ガーデニング | 品種の特定・除草剤の提案 | 疑って、裏取りする |
| 掃除 | 汚れの特定・洗剤選び | 手を動かして、売る |
AI に任せたのは、調べれば自分でもできるものの、知識と手間がかかる作業です。考える・調べるのは AI、決める・やるのは自分という分担になりました。
マルチモーダル対応の AI は、Gemini も ChatGPT も画像を入力できます。カメラで見せて、自分の手で動かすという使い方なら、画面の外の家事も AI 活用の対象になります。やってみて分かったことは次のとおりです。
- 着手が速くなる: 理想図・予算・カットリストがあると、次にやることがすぐに決まる
- 自信満々に間違える: 写真で足りなければ言葉で補い、答えは画像検索などで裏取りする
- 決めるのは自分: AI の理想をそのまま再現するのではなく、自分の予算や好みに合わせて選び直す
AI に従うことと AI を使うことの違い
AI が考えて自分が手を動かす、という分担を続けていると、AI の指示に従っているだけのようにも見えてきます。AI に支配されているのではないか、と感じる場面もありました。
2 つを分けるのは、目的と裏取りの有無だと考えています。
| AI に「従う」 | AI を「使う」 | |
|---|---|---|
| 状態 | 目的がないまま、答えを鵜呑みにする | やりたいことがあって、自分で選ぶ |
| 今回の例 | オヒシバだと信じて草むしりを続ける | 片付け・棚づくり・食洗機を 2,200 円で売る |
「AI が言ったからやる」を続けると、自分で考えなくなっていきます。AI の提案に引っかかりがあれば、「これは何のためにやるのか」「そもそも必要なのか」とその都度聞き返すようにしています。
一方で、AI を使い込むほど困っていることも残っています。Claude に依頼すると、次の作業が必要になるまでの 2 分ほどの待ち時間をうまく使えず、いまはコーヒーを飲むくらいしかできていません。また、AI のトークンが残っていても自分の頭のほうが先に疲れてしまい、週の前半で考えがまとまらなくなる日があります。心身の回復と AI 活用をどう組み合わせるかは、まだ答えが出ていない課題です。
まとめ
家事の困りごとは、写真を撮って AI に相談するだけで次の一手が見えるようになりました。理想図や予算、専用アプリまで出してくれる一方で、雑草の品種のように自信満々に間違えることもあります。答えは裏取りしてから使い、最後に決めて手を動かすのは自分です。
やりたいことに AI を使えば、やりたいことが加速します。画面の中でも外でも、主導権を自分の側に置いたまま使ってみてください。
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