
RFP 回答で AI を活かす時代に、人が担う骨子とストーリー
コンサルティングセールス部では、RFP 回答資料の作成に生成 AI を取り入れています。たたき台づくりや修正を AI が支えることで、資料づくりは速くなりました。一方で、提案に関わる誰もが AI で骨子のたたき台を出せるようになると、回答書の差が付く場所も変わってきます。RFP 対応を振り返るなかで整理した進め方と、AI を活かす時代に人が担う部分をまとめます。
RFP 対応で手戻りが起きやすい理由
規模の大きい RFP ほど、営業・コンサルタント・SE・プリセールスと、関わる人が増えます。担当ごとに資料を作り進めると、終盤のレビューで方向性の差し戻しが入ったり、資料の見せ方をめぐる議論がやり直しになったりしがちです。
こうした手戻りを減らすため、提案に関わったメンバーで振り返りの場を設け、資料の考え方と共同作業の進め方を整理し直しました。
RFP 回答資料の考え方:本編は強み、APPENDIX は網羅性
最初に揃えたのは、資料に何を書くかという考え方です。RFP の回答は要件への答え合わせに見えますが、実際の重要度は 「KDDIアイレットに任せる理由」が「要件の網羅性」より上 に来ます。
| 優先度 | 書くこと | 置き場所 |
|---|---|---|
| 1 | KDDIアイレットに任せる理由(競合優位性・強み) | 本編でポイントを押さえて書く |
| 2 | 要件の網羅性(要件を満たしているかのポイント) | 本編を圧迫しないよう APPENDIX 等にまとめる |
骨子は顧客の評価観点に合わせる
骨子の組み立て方は、お客様ごとに変えています。評価観点はコスト・フィージビリティ・将来性などお客様によって異なるため、どこを厚くするかは評価観点から逆算します。
一方で、アジェンダそのものは一般的な開発 RFP 回答の形(ご提案の要旨、ご提案内容、スケジュール、運用・保守、体制、プロジェクト管理、お見積もり、Appendix)に揃えます。攻めた独自アジェンダは、読み手が他社の回答と横に並べて比較しにくくなるため採用しません。
可読性のルールを先に固定する
規模の大きい回答書ほど、可読性そのものが評価されます。回答書をじっくり読み込むお客様も多く、前後のつながりが追えない資料は、今後一緒に仕事をする相手として不安を持たれかねません。そこで、迷いが出やすい点を共通ルールとして固定しました。
| 項目 | ルール |
|---|---|
| ページのメッセージ | 各ページに「何を伝えたいか」を入れ、章ごとに話す順番と結論が分かるようにする |
| 図・表 | タイトルを付け、何を示しているかを説明する |
| 文字サイズ | 最低 12pt |
| タイトル | 文章にしない |
| 星取表 | 口語調にせず体言止めにする |
| ワーディング | 一般的に言わない言い回しを使わない |
AI でたたき台を作る場合も、このルールが効きます。プロンプトの入力量に対して出力が多いページほど、AI の判断に委ねる部分が増えて内容がぶれやすくなります。各ページで伝えたいメッセージを先に人が言葉にしておく と、たたき台のぶれを抑えやすくなります。
RFP 回答を進める 4 ステップ
共同作業は、冒頭で骨子と勝ち筋をすり合わせ、提出の 1 週間前までに見せ方を固める流れにしました。直前の大幅修正を防ぐのが狙いです。
| ステップ | やること | 主体 |
|---|---|---|
| 1. 骨子のすり合わせ・作業分担 | 目的・課題・解決策に加え、大規模な RFP では競合に対する優位性(勝ち筋)を合意する。お客様のあるべき像からストーリーを描き、それを伝えるデモの方針も決める | 営業/コンサルタント/SE・プリセールス |
| 2. 資料のすり合わせ | 各担当の資料に非同期でコメントし合い、ミーティングでクロスチェックする | 各担当 |
| 3. 責任者レビュー | ストーリーと見せ方を中心にレビューする | 営業・提案責任者(提出 1 週間前まで) |
| 4. ドライラン・提出 | 説明の流れを最終確認して提出する | 提案メンバー全員 |
ステップ 1 の分担は、提案の要旨をコンサルタント、提案内容を SE・プリセールス、APPENDIX を全員で受け持つ形が基本です。提案の要旨には、差別化要素・アイレットの強み・成功の要諦を入れます。
ステップ 2 のクロスチェックは、担当者が自分の範囲だけを見ていると、ほかの章に書かれた強みを要旨で拾いきれないために入れています。コンサルタントは SE・プリセールスが書いた章を読み、SE・プリセールスもコンサルタントの章を読みます。
ステップ 3 のレビューを 提出 1 週間前まで に置いたのは、直前に「そもそもこうした方がいい」となると、現場の負担が増えるうえに資料の質も下がりやすいからです。AI で修正の手間が減った分、レビューを前に寄せる余裕も生まれています。
あるべき像からストーリーとデモを作る
ストーリーは、今回のスコープだけを語るのではなく、お客様のビジネスが数年後にどうなっているべきかから逆算して組み立てます。データ活用基盤の提案であれば、次のような観点で整理します。
| 観点 | 考えること |
|---|---|
| 業界特性 | お客様の業界で、管理や判断が難しくなりやすいのはどこか |
| 現状の課題 | 今のデータ管理や業務で、手間や見落としが生まれているのはどこか |
| あるべき像 | データがどう見え、日々の意思決定がどう変わっている状態を目指すか |
あるべき像には、データの可視化に加えて、数値が普段の水準から外れたときに AI が考えられる理由を添えて知らせる、といった AI 活用の姿も含めます。
デモを 2 段階に分けて提案に組み込む
ストーリーを描くなら、それを伝えるデモも用意したほうが伝わります。そこで提案のデモを 2 段階に分けています。
- 今回のスコープに基づくデモ: 提案の冒頭で、今回何をどう実現するかを見せる
- 将来像のデモ: あるべき像を説明する場面で、ロードマップの先にある姿を見せる
デモのたたき台は、早い段階で営業にも見せます。お客様の業界ならではの見せ方の工夫など、営業が持っている知見が返ってくるからです。デモは、チームの中にある知見を引き出す道具としても働きます。
誰もが AI で骨子を出せるとき、人が担うこと
いまは提案に関わる誰もが、AI で骨子のたたき台を作れます。読むお客様も AI を使い、書く側も AI を使うなら、AI の出力に頼るだけでは回答書の差はなくなっていきます。
人がメッセージを決め、AI と表現を磨く
人が担う部分は、お客様のあるべき像を語るところに集まると考えています。具体的には次の順番で進めます。
- 業界の知見や、営業がお客様から得た知見を人がインプットする
- どのメッセージを打ち出すかを人同士で話し合って決める
- 決めたメッセージを元に AI と壁打ちし、案を広げる
- 出てきた案を人が見直し、仕上げる
AI は案を広げ、表現を整える役割です。何を打ち出すか、提出する内容が正しいかの判断と責任は、提案チームが持ちます。
資料の型をチームで共有する
AI の使い方が人によってばらばらだと、資料の品質も揃いません。そこで、提案書の構成・デザイン・論理の組み立て方を型としてまとめ、チームで共有する取り組みを進めています。
型には構造化のルールも含めています。人は 3〜4 個以上の要素が並ぶと関係性が気になって内容が入ってこなくなるため、要素が 3 個以上あれば分類して整理する といったルールです。
まとめ
| 決めたこと | 中身 |
|---|---|
| 資料の考え方 | 本編は強み、APPENDIX は網羅性。骨子は評価観点に合わせ、アジェンダは一般形に揃える |
| 可読性 | ページごとのメッセージ、図表のタイトル、12pt 以上などを共通ルールとして固定する |
| 進め方 | 骨子と勝ち筋を冒頭で合意し、相互にクロスチェックし、提出 1 週間前までに責任者レビューを終える |
| 人の役割 | 業界と営業の知見から打ち出すメッセージを決め、AI の案を人が見直して仕上げる |
AI を取り入れたことで、時間をかけるべき場所は、お客様のあるべき像を描いてメッセージを決める部分に移りました。繰り返し発生する作業は AI の手を借りつつ、人が考えるべきところに時間を使える形を、これからも探っていきます。
AI 活用の構想づくりや RFP の具体化から相談したい場合は、gaipack コンサルティング をご覧ください。お気軽に KDDIアイレットへお問い合わせください。
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