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AI 導入・活用に関する最新情報、技術トレンド、事例紹介をお届けします。
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「システム営業」と聞くと、システムという商品を売る仕事に見えます。この記事では、SIer の営業が実際に何を売り、どういう流れで開発に至り、AI 時代に何が営業の手元に残るのかを、プリセールスの現場から整理します。非エンジニアでも AI で開発ができるようになった今、エンジニアの側が「どうやって開発の依頼が生まれるのか」を知っておくことにも意味があると考えています。
SaaS やパッケージ製品の営業には、カタログに載った商品があります。SIer にはそれがありません。売っているのは、お客様の課題を聞いたうえで、その課題を解決する方法をシステムとして届けるという約束です。
言い換えると、何を作るかをお客様と一緒に決めるところからが仕事の範囲です。営業がやっているのは商品説明ではなく、どういう商品にするかの設計に近い作業になります。ここが、決まったモノを説明する営業との一番の違いです。
依頼は、次の 5 つの段階を経て開発チームに届きます。段階の区切りは担当者ではなく、その段階で「渡す成果物」で決まります。
売って終わりではありません。システムを作ったあとは保守が続き、そこで得た信頼が次の依頼の入口になります。この循環をどれだけ回せるかが、SIer の営業の勝負どころです。
営業だけでは依頼は取れません。営業がお客様との接点を持ち、プリセールスが聞いてきた内容を言語化して要件をまとめ、見積を作り、エンジニアやプロジェクトマネージャーに「技術的に本当にできるか」を確認しながら、受注までつなげています。営業ひとりでは 1 行のコードも書けないので、エンジニアとの二人三脚が前提です。
エンジニアにも知っておいてほしいのが、請負と準委任という 2 つの契約形態の違いです。自分が入っているプロジェクトが「絶対に完成させなければならない」状況なのかどうかは、この契約で決まります。
| 契約形態 | 対価の対象 | 要件の状態 | エンジニアから見た特徴 |
|---|---|---|---|
| 請負 | 完成した成果物 | 決まっている | どんな状況でも要件を満たすものを完成させる責任を負う。納期に間に合わせるために人を追加しても、お客様からの追加費用は発生しない |
| 準委任 | 業務の遂行(時間単位が多い) | まだ固まっていない | 決められた時間で業務を提供する契約。完成に至らなくても、働いた時間に対して報酬が支払われることが多い |
実務では、仕様が固まる前は準委任、固まってから請負とフェーズで分けるのが定石です。固まっていないのに固定金額で請けると、こちらもお客様もリスクが読めなくなります。
あわせて「人月」(エンジニア 1 人が 1 か月働く量)も押さえておきたい言葉です。SI の見積は「何人月 × 単価」で金額が決まるため、規模の話は必ずここに翻訳されます。この 2 つを知らないと見積の会話に入れませんが、逆に言えば、覚えれば入れます。
営業に求められる力は、次の 3 つに集約されると考えています。
課題は現場の会話の中でしか拾えません。技術が分からないと、お客様にもエンジニアにも信頼されず、「この人に頼んで大丈夫か」という不安を与えてしまいます。全部を知る必要はなく、話が通じる程度で十分です。分からないことは持ち帰ってよいのですが、「何を確認すればいいか分かる」状態にはしておきたいところです。
お客様は「このシステムを作ってほしい」「ここが課題だ」と依頼してきます。ただ、話を聞いてみると本当の原因はそこではなく、基盤や業務プロセスにあることが珍しくありません。会話の中から「本当の課題は何か」に気づく力が、提案の質を決めます。コツは、放置したらどうなるかを聞いて数字にすることです。年間どれくらいの時間がかかっているかが数字になった瞬間に、それは稟議に載る課題になります。
お客様の要件は、ふわっとした言葉で出てくることが多いものです。それを言葉にしてお客様と詰め、次にエンジニア向けの用語と要件に翻訳して伝える。ここが営業のいちばんの付加価値です。ニュアンスを含む作業なので、AI に置き換わりにくい力でもあります。
「営業は AI に取られるのか」という問いには、仕事を分解して答えるのが早いです。AI で代替しやすいか、受注にどれくらい効くか、の 2 軸で置いてみます。
| 領域 | 具体例 | AI との関係 |
|---|---|---|
| 下書きと入力の作業 | 議事録、提案書のドラフト、見積の計算、CRM への入力 | AI に渡す。ここは頑張っても差にならない |
| 知識の引き出し | 業界知識、競合情報、想定問答づくり | AI で伸ばす。得意領域で、受注にも効く |
| 関係と判断 | 現場の制約を掘り出す、人を動かす、条件を握る | 人に残る。「出社前提でリモートができない」「端末を持ち出せない」といった制約は、聞かないと出てこない |
消えるのは作業で、残るのは関係と判断、伸ばせるのは知識の引き出しです。作業を AI に渡せた人だけが、関係と判断に時間を使えます。提案書のドラフトを AI に任せる具体的な進め方は、お客様の課題を Gemini に入れて提案書を作る記事でも紹介しています。
会社の強みだけでは依頼は入ってきません。KDDIアイレットには、2,500 社以上のクラウド導入実績、社員の多くがエンジニアで現場レベルでも技術の会話ができること、AI を自社で先に使って社内のリテラシーが自然と上がる環境、AI マネジメントの国際規格 ISO/IEC 42001 の自社取得、そして KDDI グループとして通信・法人基盤・データセンターなど多様な切り口で提案できる座組み、といった土台があります。ただし、これらは「なぜ御社なのか」と聞かれたときの答えであって、提案の入口ではありません。
提案の入口は、お客様の話を聞いて、聞いて、聞いたうえで「ではこうしていきましょう」と一緒に考えることです。商談での配分は、喋りが 2 割、聞くのが 8 割。自分たちを売り込むよりも、聞いたうえで解決を考える。技術で押し切るのではなく寄り添った解決策を提案する営業を、お客様は求めています。
以上を踏まえて、これからの営業に必要な条件を 4 つに絞ります。
KDDI とアイレットは、お客様との入口が違います。KDDI の入口は通信と法人のお客様基盤、アイレットの入口はクラウドとシステム開発です。どちらが優れているかではなく、掛け合わせると届く範囲が広がるという話で、両方の言葉が分かる営業がその接点に立てます。翻訳力・調整力がそのまま効く場所です。
| 論点 | 要点 |
|---|---|
| 何を売るか | モノではなく、課題を動くシステムにして届ける約束 |
| どう進むか | 接点 → 聞く → 形にする → 契約 → 開発。保守の信頼が次の入口になる |
| 契約 | 請負は完成責任、準委任は業務の遂行。仕様が固まる前は準委任、固まってから請負 |
| 要る力 | IT の基礎知識、課題発見力、翻訳力・調整力 |
| AI との分担 | 作業は AI へ、関係と判断は人へ、知識の引き出しは AI で伸ばす |
エンジニアの方にとって、営業がこういう動き方をしていることは初めて知る話かもしれません。営業・プリセールス・エンジニアの協力なしに依頼は取れないので、現場で拾った「お客様の困りごと」はぜひ営業やプリセールスに届けてください。AI 時代の仕事の構え方については、AI 時代の作業スタンスやPM の役割の再定義の記事もあわせてどうぞ。
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